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HHKB Studioが最高すぎてもうType-Sに戻れない

10/25日に新型のHHKB、「HHKB Studio」が発表されました。

happyhackingkb.com

私は発売後すぐに購入し約3週間使用しているのですが、最高すぎて既にHHKB Professional HYBRID Type-Sに戻れない体になりつつあります。

HHKB Studioと同梱品。メッセージカードなども入っており非常に高級感があります

HHKB StudioはHHKB Professionalから多くの点が変更されています。 本記事では以下3点を中心にHHKB Studioのレビューを紹介したいと思います。

  • キースイッチ
  • トラックポインタ
  • ジェスチャパッド

キースイッチ

結論、究極のサイレントリニアスイッチです。

HHKB Studioでは、メカニカル方式のキースイッチが採用されています。 静電容量無接点方式は今までのHHKBの代名詞でもあったため、伝統を捨てたメカニカルスイッチの採用に対して懸念の声がありましたが、実際に使用してみると最高のキースイッチであることがわかりました。

www.itmedia.co.jp

打鍵感/タイプ音について

Studioは独自の静音リニア軸(HHKB軸)が採用されています。押し始めは反発があり、その後は滑らかに沈み込んでくれました。底打ち時はコトコトという感覚があり、静音赤軸によくあるぐにゃっと感はありませんでした。

タイプ音ですが、HHKB Type-Sと比べて圧倒的に静かです。従来のHHKBは指をキートップにおいた時や押した時、底打ちした時それぞれカチャカチャという高めの音域のノイズがあったのですが、Stuidoでそのポイントは大きく改善されていると感じました。(一説によると、打鍵音の大きさ自体は変わらず高周波数帯が抑えられたことにより静かに感じると言われています)

またメカニカルスイッチのためルブをするべきか迷うと思うのですが、HHKB Studioはルブなしで満足できるクオリティでした。(一説によるとルブなしで使うほうがいいらしい)よくあるスペースキー周りのスタビライザーの引っかかりも特に感じませんでした。

値段について

HHKB軸は10個3000円で販売されています。 1個当たり300円という値段はキースイッチとしてはかなり強気な価格設定だと思います。 www.pfu.ricoh.com

例えばDropで人気のHoly Pandaは35個で29ドル、1個当たり約122円($0.82, $1=¥149.54)です。 drop.com

このように従来の高級キースイッチと比べても3倍近くするのでかなり割高なキースイッチです。 ですが、上記で述べた打鍵感やタイプ音のクオリティからその価値があると感じました。

トラックポインタ

Studioの最大の特徴とも言えるトラックポインタですが、実際に使用してみて非常に便利だと感じました。 操作感ですが、おそらくThinkPadトラックポイントよりも使いやすいのではと思います。 ポインタの感度はHHKB側で20段階の設定ができるため、自分の好みに合わせて調整できます。
私はウルトラワイドモニターを使っており、たびたび大きくカーソルを移動する必要があります。大きなモニターにおけるカーソル移動がやりづらくないか気になっていたのですが、感度MAXの状態で1ピッチで端から端までカーソル移動が可能でした。

トラックポインタの位置はG, H, Bの3つのキーの間にあり、タイピング中に干渉しづらいようになっています。 たまにBを押す時に誤ってトラックポインタに触れてしまうことがあるのですが、正しいタイピングをしていれば滅多に干渉することはないと思います。

トラックポインタは干渉しづらい位置にあります

キーマップ変更ツールからトラックポインタのボタン機能を有効にすることもできます。 感度がそこまで良くなく強めにタップする必要があり、こちらは若干使いづらさを感じました。今後のファームウェアアップデートに期待です。

ジェスチャパッド

Studioには左右と全面に計4つのジェスチャパッドがあります。このジェスチャパッドは20段階の感度調整が可能で、キーマップ変更ツールから機能割り当てを変更することができます。 私は次のように、左からズームイン/アウト、アプリ切り替え、水平スクロール、垂直スクロールを割り当てています。 特に左右のジェスチャパッドはホームポジションを崩さずに小指で操作できるため、痒い所に手が届くような便利さがあります。

各キー/ジェスチャーパッドの割り当て

便利な機能ではあるのですが、macトラックパッドと比較して操作感は劣ると思います。その理由として次のようなものがあります。

  • 初動にラグがある
  • 慣性が効かない
  • ピンチイン/アウトのようなスムーズな操作の割り当てができない

私は普段フロントエンドエンジニアとして働いており、Figmaのようなデザインツールを使う場面が多いです。 こういったツールは繊細な操作が求められるのですが、上記の理由からジェスチャパッドは補助的な使い方に留まっています。 一応ジェスチャパッドの感度を低めに設定することで操作感の不満を軽減できたのですが、今後のアップデートに期待したいと思います。

Studioを使う上でパームレスト選びには気をつける必要があります。
HHKBユーザの中にはFilcoパームレストバード電子のタイピングベッドを使っている方がいると思いますが、それらのパームレストパームレストの高さとジェスチャパッドの位置が干渉してしまいます。
そのためHHKB Studioを使う場合は、PFUのオリジナルパームレストを使う必要があります。 www.pfu.ricoh.com

馬の鞍哲学について

従来のHHKBは「馬の鞍哲学」という考え方で設計されており、生涯使えるインターフェースを謳っていました。 happyhackingkb.com

これを可能にしていたのが次の2つの要素です。

  • 静電容量無方式の採用による、理論上壊れないスイッチ
  • バッテリーではなく乾電池の採用

Studioでは静電容量無接点方式ではなくメカニカルキースイッチが採用されています。 静電容量無接点方式コンデンサの静電容量の変化を検知しているのに対し、メカニカルキースイッチは物理的な接点が存在しており、接点が摩耗していくことでいつかは壊れてしまいます。 故に私は、「Studioは生涯伝えるインターフェースになり得るのか?」という疑問をもっていました。 3週間ほど使った現在では、「生涯使えるインターフェースになり得る」という結論に至っています。 その理由としてホットスワップが採用されていることが挙げられます。ホットスワップはキーソケットというパーツを用いることで半田付けなしにキースイッチを交換できるようにするものです。これによりキースイットが交換可能な部品になったため、キースイッチを消耗品と捉えることができるようになりました。 さらに、Studioが採用したキースイッチの規格は自作キーボード界ではかなりポピュラーなため、好みのキースイッチに交換することもできます。 これによりカスタマイズの幅が広がり、従来のHHKBシリーズよりもさらにユーザの手に馴染むインターフェースになり得ると考えています。

誰におすすめなキーボードなのか

HHKB Studioは市販のメカニカルキーボードの中でかなり高価な部類に入りますが、自作キーボードと比べるとコスパよく高いクオリティの0キーボードが手に入ると言えます。(自作キーボードは4,5-∞万円に対し、HHKB Studioは4.4万円) また製品のクオリティが高く、長く使い続けられることを考慮すると、その価格は0円に収束していくためとてもお値打ちであると言えます。

よって次のような方にオススメなキーボードだと思います - 自作キーボード沼に堕ちた方 - 最高のタイピング体験を求める方 - キーボードの静音性を追求する方 - デスクにマウスすら置きたくない方

まとめ

この記事では書いてないですが、他にも素晴らしい点はたくさんあります。 この記事がHHKB Studioの購入を悩んでいる人の助けになれば幸いです。